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コード進行分析-Fly Me To The Moon-

「Fly Me To The Moon」のコード進行を分析します。
分析の目的は
1、曲の構造を理解し、曲想を持つこと。
2、フェイク、アドリブ時に、適切な音、コード、スケールを使えるようになること。
1の為には歌詞の理解も大切ですが、今回は歌詞の分析は割愛します。

KeyはCメジャー。ABAB形式なので、4小節×4段目(前半16小節)までを分析対象にします。

2-4小節に251(ツーファイブワン)が見えますので、曲の始まり部分はトニックがC(or CM7)。1小節目のAm7は251の前に4度進行(=5度進行)で追加された6度コード。よって1段目はCの6251という進行です。転調などは一切なし、まっすぐなダイアトニックコード進行です。

次に2段目。5-6小節はともにCのダイアトニックコードであり、4小節目のCから4度でF(or FM7)へ進み、次はFM7と共通音(FA)を持つBm7♭5へ。このBm7♭5からAmの251(ツーファイブワン)が始まり、トニックがAm(or Am7)に移行します。

ルートの4度進行はそれだけで滑らかな進行感をもたらしますが、4度がつながっていないFとBm7♭5はコードトーン2音を共有して滑らかにジョイントし(つなぎ目を作るコードをピボットコードといいます。ここではDm7も有力なピボットコードです)、ノンダイアトニックのG#を触媒にして静かに平行調Amに転調します。転調とは中心音の移動をともなう調の変化です。この場合、曲の中心音がCからAに移動しながら、CメジャーからAマイナーに転調しました。

1段目は素朴な雰囲気のCで始まり、ゆっくりとグラデーションしながら、2段目8小節目にたどり着く頃に愁いを帯びたAmに転調しました。鍵を握っていた音はG#であり、変化をもたらしたコードはE7です。ここすごく重要な音とコードですね。ハーモニーの軌道が大きくカーブを描き、中心音がC(ド)からA(ラ)へ、中心和音(トニック)がCからAmへ移った瞬間です。

3段目と4段目の原型はDm7-G7-Cの251(ツーファイブワン)の繰り返し。原型はジャジーな進化につれ、12小節目に5 of Dm7のA7が挿入されたり、11-12小節目に25 of Dm7のEm7♭5-A7が挿入されていきます。

この5 of Dm7や25 of Dm7の挿入により、Cメジャーの1本調子より部分的にDマイナーの調性が現れ、うっすらと憂いが漂います。

この1曲の中で楽しい気持ちやちょっと不安な気持ちが重なり合って伝わります。それも過度な表現でなく、うっすらと、控えめに・・・、まるで大人のため息のような表現になっています。これがジャズです。
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